EU、対ロシア個人制裁を3年延長――オリガルヒ2人の除外と引き換えに「半年ごとの拒否権」を封じた取引

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EUは2026年9月22日、ロシアのウクライナ侵攻に関連する個人・団体制裁を36カ月延長し、期限を2029年9月22日とすることで合意した。対象は3,000超の個人・団体で、資産凍結と渡航禁止、資金提供の禁止が続く。一方でEU理事会は3人と1団体の指定を更新しないと発表し、報道各社はその中にロシアの実業家アリシェル・ウスマノフ氏とミハイル・フリードマン氏が含まれると伝えた。本来の期限は9月15日だったが、加盟国の合意が得られず7日間の暫定延長を挟んだうえでの決着となった。

何が交換されたのか

今回の構図は、2人の除外と、更新周期の延長との取引である。ロイター通信は、EU大使らがウスマノフ、フリードマン両氏の除外と引き換えに、通常の6カ月ではなく3年の延長で合意したと報じた。関係筋によれば、ウスマノフ氏の除外はフランスが、フリードマン氏の除外はルクセンブルクが支持し、スロバキアも両氏の扱いの変更を求めていた。

フランス外交筋は、自国は対ロシア圧力の強化に最も積極的な国の一つだとしたうえで、ウスマノフ氏については「国家安全保障上の個別の事情」があり、働きかけてきた国際的なパートナーに前向きに応じたいと説明している。その具体的な中身は明らかにされていない。これに対しラトビアは、個別の除外要求が数千人規模の制裁全体を危険にさらすことを許すべきではないと反対した。

なぜ半年ごとに揉めるのか

背景にあるのは、EUの共通外交・安全保障政策で制裁の更新に27カ国の全会一致が必要という制度である。個人制裁は2014年のクリミア併合を受けて導入され、以降6カ月ごとに更新されてきた。更新のたびに、1カ国でも反対すれば全リストが失効する可能性が生じるため、各国の首都には毎回、特定の名前の除外を求める交渉材料が与えられてきた。

実際、2025年9月にはハンガリーとスロバキアが6人の除外を求めたが実現せず、2026年3月の更新では2人が更新対象から外れ、死亡した5人が削除された。議長国デンマークは2025年に更新周期を12カ月に延ばす案を出したが、この時は否決されている。今年6月には分野別の経済制裁について初めて1年単位の更新が実現しており、今回の36カ月延長はその流れを個人制裁にも広げたものと位置付けられる。

ウクライナ系メディアのキーウ・インディペンデントがこれを「方針転換」と報じた一方、EU側の当局者にとっては、2人を手放しても今後の更新をめぐる駆け引きを大幅に減らせるという計算がある。評価の差は、個別の名前を重く見るか、制度の安定性を重く見るかの違いから生じている。

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今後の注目ポイント

  • 3人目の非更新対象者と1団体の氏名の公表
  • 採択が滞っている第20次制裁パッケージの行方(ハンガリーの反対で外相理事会での採択に失敗)
  • 除外された両氏の事例を根拠に、他の指定者がEU司法裁判所での異議申し立てを強めるかどうか
  • 分野別経済制裁の次回更新期限(今年6月の1年延長から数えて2027年半ば)

考察・今後の予測

36カ月延長によって、2029年9月までに予定されていた6カ月ごとの更新5回分(2027年3月から2029年3月まで)が消え、個人リストを人質に取る交渉の機会はこの3年で5回から0回に減る。除外を求める側の圧力はその分、全会一致が必要な新規制裁パッケージの採択へ移る公算が大きく、すでにハンガリーの反対で止まっている第20次パッケージがその最初の試金石になる。一方、2026年だけで3月に2人、9月に3人と1団体が更新から外れた実績は、法廷闘争を続ける他の指定者にとって前例として使われやすい。3,000超の規模のリストが3年間固定される代わりに、個々の指定の法的根拠が司法の場で問われる件数は増える方向に動くとみられる。

参考文献・ソースリンク

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